ああ、あったかい……。
何だろう、この安心感。

だんだんと覚醒していく意識の中、私はそう思った。
目を開けると……

「おはよう、みどり」
すぐ目の前にあった顔が近づいて、唇に柔らかな感触が。

「っ!!……ぎゃあぁ〜〜〜っっ!!」

私は飛び起き、青い瞳を丸くしている少年に向かって叫んだ。
「この変態っ! エロガキ!! な、ななな、なんでっ……!! なんでキスなんか……!!」

恥ずかしながらこの歳で、ファーストキスもまだだったのに……っ!!

「何をそんなに驚いてるの? 挨拶しただけじゃないか」
「あ、あああっ挨拶?!」
「そ、オレとみどりの仲だもん、当然だろ?」
「仲って!! なっななっ何もっ……!! あんたと私は見ず知らずの……!!」

そこまで言ってハッと気づいてみれば。
同じベッドの上にいる彼と私は、どうやら一枚の掛布を一緒にかぶって寝ていたらしい。

しかも! あろうことか!!

「キャ〜〜〜〜っっ!!」

うそっ! うそっ!!
ありえな〜い!!
私、何にも着てないじゃないっ!!

あわてて掛布を引っ張って体に巻き付け、くるりと彼に背中を向けてうずくまる。心臓がバクバクいって、今にも口から飛び出しそうだ。

と、とにかく落ち着こう!!
え〜と、え〜……

た、確かこいつ……
“オレの子を”
とか言ってた……。

まさか、まさか……
あぁっ、おかーさーん!!
私、もうお嫁にいけない……?

「ふふっ……みどりは可愛いなぁ〜♪ やっぱり、オレが思ってた通りだ」

後ろから抱きついてきた腕を振りほどき、私はキッと彼をにらんだ。

「あんた、コレ、犯罪だからねっ!! 未成年だって犯罪は犯罪よ! 訴えてやる!! 絶対、許さないんだから!!」

彼は困った顔をして、少ししょげた様子で首をかしげた。

「えぇと……? どうしてそんなに怒るのかなぁ? ここに来る途中で雨に降られて濡れたから、仕方なかったんだけど……」

「へ?……ってことは……」
「うん、みどりが期待してるようなことは何も……」
「“期待”じゃなくてっ!! “心配”でしょっ!!」

言葉と同時にパンチが飛び、彼の頬にクリーン・ヒットした。