ケータイ小説 野いちご

LOVELY☆ドロップ

♪♪♪♪FOUR☆ドロップ
祈-inori-


side:Jun Kusakabe



「もしもし、母さん?」

『潤(ジュン)!? 美樹(ミキ)ちゃんは?』

とんでもない大馬鹿野郎(オオバカヤロウ)の手から無事、美樹ちゃんを取り戻したぼくは車に乗り込み、家で彼女の帰りを待っている母さんに電話をかけていた。

母さんは、電話の相手がぼくだと知るとものすごく大きな声を出し、どうなったのかと問い詰めてきた。

たったそれだけで、母さんがどれほど美樹ちゃんの安否を気にかけていたのかがよくわかる。

なんたって母さんは美樹ちゃんがお気に入りなのだ。


「見つかったよ。後ろの座席で祈(イノリ)と一緒に寝てる。今から帰るから」

母さんに落ち着いてもらうため、小さい声でそう伝えると、短いうなずきが何度も返ってきた。

それを聞いたぼくは通話ボタンを切り、後ろを振り返る。


見えるのは、美樹ちゃんの腕の中で泣き疲れて眠っている祈の姿だ。


祈は、さも当たり前のように後部座席にいる彼女にすがりついて離れようとはしない。

スーツに皺(シワ)が出来るくらい、小さな手が握りしめていた。



――それは、美樹ちゃんを慶介(ケイスケ)とか言う薄情男(ハクジョウオトコ)から無事奪還(ダッカン)し終え、車に乗せた直後だった。

滅多に涙を見せない祈が美樹ちゃんの姿を見るなり彼女の胸に飛び込み、大声でわんわん泣いていた。



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