うっすらと白い光が一筋だけ暗く閉ざされた空間に真っすぐに伸びていた。
その光は徐々にその手を広げ、そこに横たわる人物を闇の中から掬いあげる。


「う……ん……」


瞳に差し込む光に青年は眩しげに右手を翳した。

カーテンの隙間から白光色の筋が伸び、太陽が顔をのぞかせたことを伝えていた。

青年は瞳に掛かる白銀色の髪を掻きあげるとゆっくりと立ち上がり窓辺に立つと、窓ガラスを覆うカーテンに手を伸ばし、一気にそれらを引き放った。

まばゆい日の光が筋ではなく帯となり、青年の視界を真っ白いものへと変える。

青年は瞬間、目を覆い小さいうめき声を上げた。


だが、それもほんのわずかな時間。


再び開いたその瞳に日の光は優しく落ち、琥珀色の瞳が姿を見せた。


「お目覚めですか、ディーノ様」


音もなく背後の扉が開き、一人の青年が入ってきた。

艶やかな長い黒髪を肩のところで一つに束ねた細身の青年。

磁器のように青白い肌に、薄紅色の唇が小さな薔薇の花のように浮かび上がる。

切れ長の瞳は髪と同じ黒曜石のそれと同じ。

筋の通った高い鼻は知的な雰囲気をさらに深めるものだった。