笠井が亡くなったから集まりをしないなんてアイツが一番嫌がるだろうからアイツがしたかった花見を、みんなでしよう。


笠井も一緒に…


そのメールに反対する奴なんて誰もいなかった。

いつのまにか桜は咲き誇り満開を迎え、少し散りだしていた。


散る前に、笠井に桜を見せるんだ…

私達は、すぐに日にちを決め、笠井が穴場と言っていた桜の公園に行った。


その日は花見をしている人は誰もいなくて、私達だけの貸し切り状態だった。


でも、桜は満開だった。

その日の夜桜は、どこにでもある公園の電灯に照らされてただけだけど、どこの桜よりも美しく見えた。


私達は笠井の写真を写真立てにいれ、光が一番あたる所に置いた。

笠井の前にビールを置き、つまみを置き、いつも通り楽しく笑いながら花見は始まった。


笠井は光の中で、ずっとほほえんでいた。

ねぇ笠井、誰かの夢にでてきた?

なおの言葉にみんな黙った。

あたしのとこには、でてきてないよ

私が、そう言うと皆、口々に俺も私も。と言った。


私も寝る前になると、ほとんどといっていいくらい笠井の事が頭をよぎる。