パタパタと制服をあおがせて、首元に風をやる。

 冷たい風が首元をスっと抜けるが、すぐ暑くなる。

「あっつい」

 由梨は下敷きをパタパタさせて、必死に頑張っているがギブアップ。

 私はチューっと買ってきたオレンジジュースを飲んだ。


「もう、夏本番って感じだよね」

「うん・・・」
 
 由梨はイスにもたれて、天井を見上げていった。

 暑くてバテバテらしい。

 私も、けっこうバテバテなのだが。


 暑くてしょうがない。

 日にちが少したって、7月の中盤となった。

 暑すぎる。


「ねぇ、麻友。向井くんって、けっこういいと思わない?」

「え!?」

 その名前に少し動揺。

 いや、かなり動揺。


 あの事件があってから、私は向井くんとしゃべっていない。

 まぁ、しゃべれないのが事実だが。


 向井くんは、廊下で仲谷くんを見ると超特急で逃げていくようになった。

 まぁ、そうだろうね。

 多分、これから体験することないような体験したんだし。



 屋上から吊るされるなんて。


 
 あんなに男子に大泣きされたの初めてだなぁ・・・。


 しかも、顔がけっこうボコボコで。

 必死すぎて笑えてきた。


 失礼だが。