誰かのことを想うって、こんなにもエネルギーを必要とするものなのか。
だとしたら。華乃って、わたしが思っていた以上にタフな人間だ。
「新しい恋でもみつけるか」
今まで何度も聞いたセリフ。
わたしはそのセリフを、簡単には口にできそうにない。
未開封のオレンジジュース。
おもちゃのクラシックカー8種。
体育祭で使ったメガホン。
集合写真。
先生に関するものは増えたけれど、わたしはまだこの場所で足踏み状態。
ペットボトルに印字されている賞味期限に、1日、また1日と近づくたび、妙に焦っている自分に気づく。
その日付が、先生に向けている感情を終わらせなければいけない期限のように思えて。