「ショウくんは、運命の人じゃなかった、ってことで。さっさと次に進むとします」
わたしの顔を見るなり、華乃が真面目な顔をして言った。
あぁ。だから、黒髪から茶髪にしたわけか。
「どこかにいないかなー」
なんて言いながら、辺りをキョロキョロと見回す。
駅のホーム。
朝から夏を引きずる暑さの中、華乃は相変わらず元気だ。
そういうわたしも、久しぶりの登校に昨日からソワソワしていた。
先生に会える。
そう思って。
だって、考えないようにしていても、机の上のオレンジジュースとおもちゃの車を目にすれば、いやでも思い出してしまう。
あの日から、頭の片隅に先生がいて。
ありがとう、の言葉も、すみません、って言葉も言えずにいるから。
だから、ずっと気になってしまうんだ。
先生と顔を合わせたら、ちゃんと言おう。
それで、スッキリしてしまおう。
面倒なことはサッサと片付けたほうがいい。