終戦から、一年。



少しずつではあるが、日本も立ち直ろうとしていた。



ただ私の隣に、彼はいない。



一平さんは、還ってこなかったのだ。



たとえもう二度と、会うことができなくても。



私は変わらずに、貴方のことを想っています。



そう伝えることが出来たなら。



「喜代!大変!」



畑仕事をしていた私の元へ、お母さんが叫びながら駆け寄ってきた。



「なに、そんなに慌てて…」

「雨竜さんよ!雨竜さんがきたのよ!」

「え…」



雨竜?



「落ち着いて、そんなのあり得ない。」

「信じられないのなら、自分の目で確かめてきなさい!居間にお通ししたから!」



だって…。



だってそうでしょ?



私の知ってる雨竜さんは、戦死した。



今更帰ってくるなんて、あり得ないのだ。