それは、修学旅行から2年生が帰ってきて数日が経過したある日の事。

「さぁ、座って下さいな丹下君」

生徒会室、その一番窓際の席。

白神 月(しらかみ つき)はコロコロ笑いながら、長身筋肉質黒髪短髪の男子生徒に座るよう促した。

「……」

その生徒、丹下 龍太郎(たんげ りゅうたろう)は、じっと月を見据える。

彼女の一挙手一投足を見逃してなるものかと言わんばかりに。

…月はただの女子生徒ではない。

この天神学園高等部に君臨する、最恐の生徒会長。

聡明な頭脳と読心術、公明正大品行方正な表の顔と、コロコロ笑ってジェノサイドする裏の顔で一癖も二癖もある生徒達を統率している女帝なのだ。