時間の速度と、自分の気持ちって、ことごとく反比例すると思う。


鳴らない携帯と、9時を回った壁時計を交互に見つめながら、小さく溜息をついた。


哲平からの連絡はない。


きっとあれから、寝てしまったのだろう。


夕食を食べ終え、お風呂も済ませ、すっかり時間を持て余していると、考えるのは哲平の事ばかりだ。


久し振りに両親と顔を合わせて食べた夕食の時間。


心なしか嬉しそうな二人を目の前に、キャバクラで働いてきたという事実が、あたしの胸を締め付けた。


きっと事実を知ったら、反対される。


両親だけじゃない。


幸子や香だって、笑って応援してくれる事はないだろう。


そして、哲平。


こんな風になるくらいなら、もう辞めると言ってしまえば楽になれる。


でも…


帰り道のコンビニで買った雑誌をペラペラとめくりながら、早く明日にならないかと願った。