日曜日の早朝。


今日に限っては、両親が起きるのは10時くらいだ。


だからあたしは、その少し前くらいに帰って来た事にしようと、電車に揺られながら、嘘の理由を考えていた。


大学の友達の家で、朝までDVD鑑賞をしていた事にしよう。


最寄り駅に着くと、自転車にまたがり、静まり返った住宅街を走る。


もうすぐ梅雨が始まると、天気予報で言っていた。


どんよりと曇っている空は、今にも雨が降り出しそうで。


あたしはペダルをこぐ足に力を入れた。


ようやく家に着くと、物音を立てないよう細心の注意を払い、忍び足で自分の部屋へと向かう。


うちは特に門限もないし、友達との外泊にも、とやかく言われないし、両親は寛大な方だと思う。


それでもここ最近は帰りも遅く、遊び回っているあたしを、両親が良くは思っていない事は確かだ。


それに加えて、キャバクラで働いてきたという事は、やっぱり後ろめたくて。


黙っていればばれる事はないとは言え、少し胸が痛んだ。


何だか最近、両親には嘘を付いてばかりな気がする。


早朝の空気に触れ、すっかり酔いも覚めた頭は、そんな事を考え出すと、急にあたしをブルーにさせた。


早く寝よう。


拭き取りタイプのシートで、素早く化粧を落とすと、部屋着に着替え、ベッドに潜り込んだ。