「いらっしゃいませ。どうぞごゆっくりご覧ください。」


思わず目をつむってしまう程の輝きを放つ空間。輝きを放っているのは、商品を色鮮やかに見せる為の照明だけではなかった。


「お客様、そちらのお洋服はいかがでしょうか?」

その言葉を発した女性は、顔中に満面の笑みを浮かべお客に商品を勧めている。
よく見ると彼女の髪は、まるでフランス人形のような明るい毛をしていてとても上手にセットがされてある。フリルが可愛らしい茶色を基調としたワンピースが、その髪型とマッチしてさらにお人形さんのように見せている。
「お姉さんが着ているワンピース、可愛いですね!よかったら同じのを見せてもらってもいいですか?」
お客はキラキラと目を輝せ店員が着ているワンピースを羨望の眼差しで見つめている。
「こちらのお洋服ですか?可愛いですよね!新作で私も昨日買ったばかりなんです。」お客の言葉を聞いた店員は待ってましたとばかりに自分が着ているワンピースの裾をちょっとだけ持つと、まるで悪戯っ子のようにえへへと笑って見せた。
「同じものをお見せしたいのでぜひあちらのワンピースのコーナーへ行ってみましょうか!」