「ねー海里君、次のポイント、どこにする?

私にも、地図見せて。
あ、海里君が見たければ、別にいいけど」

荘田ほのみが、至極険悪な態度の海里に近付いた。

多分こいつは天然で、人の雰囲気に鈍いんだろうと、海里は判断する。


「いいよ、地図持ってれば。

次のポイント、もう大体分かったから」

海里がそう言うと、畑みかげは不機嫌そうな秋川サワの肩に、手を置いた。

不機嫌の理由は明らかだ。
海里が、サワを嫌ったから。

畑みかげは、秋川サワに顔を近付けて言った。

「わ、海里君さーすが。

だったら早く言えよ、って感じだけど。

じゃサワ、行こ」

みかげは、サワの代わりにさりげなく不満を言うと、体重をかけてサワを無理矢理歩かせた。


「ちょ、みかげ、やめてよ~」

サワが笑う。

みかげが、うまくサワの気を紛らわせてやったのだ。

畑みかげは、普段は口数が少なく、皮肉屋でもある。

だが海里には、周りをよく見ている者だということが分かった。