【隼side】



去って行く蓮と真梨の背中に手を振る。



「大切な(ひと)なんだな、隼」

「うん……って、いや、そんなんじゃない!」



親父の言ったことに思わず肯定してしまって、慌てて否定する。



「そんなに否定しなくてもいいだろ?」



逆に怪しいぞ、と言われて押し黙る。



「俺は嬉しいんだよ、隼にそんな(ひと)ができて」

「親父……」



親父は当然、俺が女がダメなことも理由も知っている。

母親が俺を虐待していたことを自分のせいだと思っているし、負い目がある。

だからこそ、警察官なのに俺が蓮たちといることを止めないのかもしれない。

そんな親父にとっては、俺が普通に話すことができる女ができることがすごく嬉しいことなのかもしれない。



「隼、店番いつ終わる?」

「あと1時間くらいかな」

「じゃあその後案内してよ。また来るから」

「うん」



親父にバイバイ、と手を振る。