~サヨナラの3分前~



真っ直ぐ、激しく燃え上がる。



あの頃の、私たちは、


きっと、そんな花火だったんだろう…。



でも、


いつだって最後に待っているのは、


静かにゆっくりと、終わりを告げる線香花火。





私は慎重に火をつける。



この線香花火が落ちたら、私は彼に別れを告げる…。



ゆらゆらと不安定に揺れて、ぷっくりと頬を膨らまして、


まるで、私たちみたい…。



彼は飽きてしまったのか、線香花火を束にして火をつけた。



私の気持ちなんて気付くはずもなく、


太った線香花火を、楽しそうに見つめる彼…。



もう決めたはずなのに、


揺れて消えそうな火の玉を、必死に守る私…。





「初めてここに来た時のこと覚えてる?」


彼は唐突に口を開く。



忘れるわけないよ…。



二人きりで、初めて遊んだこと…


今日みたいに、花火をしたこと…


「好きだ」と彼が言ってくれたこと…





ポトリと地面に落ちた。



それは、私の涙だった。