「失礼します。」



高校に入学して一週間経った日の放課後のこと。

わたし、橘花[タチバナハナ]は、入部届を片手に美術室の扉を開けた。

のはいいものの...


入り口から中を見渡す限り、人が見当たらない...



活動は、してるよね?



「あのー…」



わたしは遠慮がちに美術室へ足を踏み入れた。



と、そこには...


1人の男子生徒が、大きなキャンバスと向かい合って座っている姿があった。