ケータイ小説 野いちご

つむじ風。

第1章~分かれ道~

おまえを初めて間近で見たのは
俺が小学5年の時。

何度か学校で見たことはあったが、
さして気にも留めてなかった。

学年も一つ下だったし、
接点もなかったからな。

でもあの日。

街外れの剣道教室で
みんなの前で自己紹介しているおまえを見た時、正直に他の女子とは違うなって、そう思った。

はきはき話すけど、
ところかまわずはしゃいだり、
黄色い声を出すやつじゃないって。

ちょっと気になった。

なぁ、博子。

おまえ、俺が嫌いだったろ?

俺を相手に練習する時、
いつも目を伏せていた。

普段はしなやかな竹刀さばきが、
俺の前だけでは堅かった。

他のやつらには愛想よく話すのに、
俺には1年間
まともに話しかけてこなかった。

まぁ、俺はそういうこと慣れてたけどな。

みんな俺を、とっつきにくいやつだって
そう思ってることくらい知ってたぜ。

親にも変わったやつだとよく言われた。

両親はしつけには厳しくてな。

2歳上の兄貴とよくふたりでイタズラしては
家の外に放り出されたもんだ。

真面目な兄貴は泣きながら謝って
「ごめんなさい、父さん、母さん!中に入れて!」なんてドアを叩いてたっけな。

でも俺は、親父が許してドアを開けてくれるまで時間つぶしてようって
自転車で近所をウロウロしてた。

親父が一晩中、俺たち兄弟を外に放り出しておくわけがないからな。

愛想はとことん悪いけど
要領は良いって、よく言われたよ。




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