朝から顔が赤くなっていたのは気になっていたが、まさか倒れるとは思わなかった。
俺は澪ををおぶって保健室に連れて行く。
保健室に行くが先生の姿がなかった。

(なんでこんな時に居ないんだよ・・・ったく、一応ベッドに寝かせておくか)

澪の上着を脱がせベッドに寝かせる。
冷蔵庫から冷えピタを取り出し澪の額に付ける。
“んっ・・・”と唸ってから澪は静かに寝息を立て始めた。


(目の下・・・凄いクマだな、いつもなにしてるんだ?)

そっと澪を頭を撫でながらそう思う。

「ん・・・」

「澪?」

「か・・・母さん・・・」

「か、母さんって・・・クスッ」

「んっ・・・み、三谷?」

笑い声が聞こえたのか澪がそっと目を開き俺の苗字を呼ぶ。
俺は撫でるのを止め澪に近づく。

「なぁ・・・三谷」

「ん?どうした?」

「ここは?」

「保健室だ、お前倒れたんだぞ、んで俺が運んだ」

「そっか・・・迷惑かけたな」

「別に良いって、体調の方はどうだ?」

「あぁ、大丈夫だ」

「本当か?まだ顔赤いぜ?」

顔色を窺おうと澪の顔を覗き込む。
すると、澪の顔がまた赤くなった。

「また赤くなった、一応熱測ろうぜ」

「ほ、本当に大丈夫だから」

「一応だって」

「良いって!!」

突然澪が大声をあげた。
俺は驚き、澪は俯いてしまった。

「・・・一応保健の先生連れて来るな、大人しく寝てろよ」

「分かった・・・」

澪が布団で顔を隠しながら寝る。
俺はそれを見てから保健室を出て走り出す。