栗原が居なければ…俺は華とホテルのスイートルームに宿泊するつもりだったのに…


無邪気に手を振る華。


その表情が何とも口惜しい。


「昨日はご馳走様でした…」
社交辞令だと思うけど、栗原が俺に礼を言う。


「あ…」


ようやく3日目でこの社長のデスクと革張りの椅子が俺のモノだと言う自覚が
芽生え始める。


「社長…今日の役員会で正式な社長就任が決定致しますので祐早斗様を改め
て社長とお呼びします」


栗原の回りくどい言い方にはうんざりしていた。


「分かった。お前の好きなようにしてくれ」


「承知致しました。社長」