その日の夜、わたしはお母さんに話したいことがあると告げた。



「何なの?」

お母さんはそう言いながら、わたしの前に座った。



「あのね・・・、お母さん・・・、」

わたしは緊張した面持ちで、お母さんに言った。

「落ち着いて聞いてほしいんだけど・・・、わたし・・・、赤ちゃんができたの・・・。それで・・・産みたいと思ってる・・・。」



お母さんの顔がみるみるうちに、蒼白になっていった。


「赤ちゃんができたって・・・、本当なの・・・?」



「うん・・・。今日、産婦人科に行って来た・・・。」




しばしの間、張り詰めたような沈黙が流れる。



「相手は・・・、晃司くんなのね・・・?」

沈黙を破って、お母さんがたずねた。


「うん・・・。」

わたしはうなずいた。

「晃司くんは、産んでほしいって言ってる・・・。」