「そう思うなら、お弁当作るの止めてみたら?」

次の日、奈津子に昨日考えたことを話すと、あっさりこう言われた。


「だって、お弁当作ってきたら普通一緒に食べるでしょ?なのに、食べるのもバラバラ、感謝の言葉もなし!あたしだったら絶対作んない。」


確かに…。

あたしが毎日作るお弁当を春は友達と一緒に食べる。
しかも取り巻きの女付き。

やっぱりあたしって都合のいい女?!







「はぁ。」

最近、ため息増えたな。

奈津子が彼氏のところに行ってしまったので、ひとり机で英語の教科書を開いた。




「う…。わかんない。今日当たるのに。」

辞書を片手に教科書と格闘していると、

「綾実」

上から降ってきたのは愛しい人の声。

一日振りの声に自然と笑みが零れる。


「春!何かあった?」

あたしが嬉々として話しかけると、

「弁当。」

と冷めた一言。



あぁ弁当ね。
どうせそんなとこだろうと思ったさ。

奈津子にあんなことを言われたせいで、少し自分のしてることが馬鹿馬鹿しく思えた。


だから、いつになく冷たく

「はい。」

と春に弁当を押し付けた