「ライブリサタリィ…?」

「…聞いたことがありませんね、小澤さん。」

「うん。初耳だ。」


この辺で彼女と意見のすり合わせを図っておきたいところだった。
『アクアマリンの秘密』という世界の中に完全に入りきってしまったのかどうかについても議論したいし、これからどうするべきなのかも相談したい。


「ライブリサタリィは地理的な位置として、どの辺にあるものだと解釈すればいいですか?」

「…そうだなぁ…。ヴァニティーファウンテンとディープオーシャンの間にあるんだけど…。」

「…なるほど…。」


ヴァニティーファウンテン、ディープオーシャン。
それらは『アクアマリンの秘密』に登場する架空の国だ。
俺も彼女も地名を聞けば納得出来る程度の結構ヘビーな読者らしい。


「ねぇ凛。」

「何ですか?」

「あなたにも特殊能力あるの?」

「え?」

「それに颯さんにも。」

「あー…分かんないなぁ…。大島さんはもしかするとソードかもしれないよ?」

「そんなことは…。」

「確かに、剣の使い方は上手いなお前。」

「えっ?」

「うわーめっずらしー♪蒼刃が星来以外の女の子をホメるなんて!」

「うっせぇぞ桃依!別に俺はこいつが女だからホメたんじゃねぇよ!」


…なんて分かりやすくて子どもっぽいんだ。
なんて考えながら笑っていた時、不意に頭の上に大きな影を感じた。