「…ってごめん、大きな声出しちゃって。」

「いえ。無理もない話です。」

「それで…大島さんはなんでそんな仮説を立てるに至ったのかな?」

「…『アクアマリンの秘密』、ご存知ですか?」

「えっと…まぁ。」

「あの世界観のイメージと瓜二つだからです。」

「瓜二つ?」

「あくまで私のイメージと、ですが。」

「…なるほど…。
でもなんでそんなことに…?」

「あの本が、土曜日の図書館に眠る魔法の本だったんじゃないかなって。」

「え?」

「私が触った本です。小澤さんは覚えてませんか?」

「…覚えてる。」


妙に光っていた本だ。
あの場所にあんな本は存在しない。
俺は数十分前にあの棚を整理していたが、見当たらなかった。
いつの間にかあの本が現れてた、ということになるのかもしれない。


「あの本が魔法の本かどうかはさておき、異世界にいるのは間違いないです。」

「…うん、そうだね。
で、もう1個訊いてもいい?」

「なんでしょう?」

「いつの間に着替えたの、それ?」


俺は彼女の服を指差した。
…記憶を手繰り寄せた限り、彼女は制服だったはずだ。
それなのに…