膨大な数だった紙束は、既に十数枚
コーヒーをすすりながら書類に目を通していく
いくら気になることがあったとしても仕事はこなす
そうでないと俺以外の人間にも災難がふりかかるからな
コンコン…ーーー
待ちわびたノック音
「入ってくれ」
俺の声よりほんの少しして入ってくる有能な秘書。
「朝倉慎だと言ったら、予定こじ開けてもらったよー」
ドサッと黒革のソファーに豪快にダイブしてる
「いつからだ?」
「今からでも、明日でも明後日でも」
うちの秘書は顔がきくからな
俺も敵には回したくないな
「どうせ今からだろー、車つけてっから」
「さすが幸弘、手持ち金は?」
「5000、足りないなら後で足せばいい」
まったく、金遣いが荒いやつだ
俺もひとのことは言えないが
苦笑しながら「そうだな」といっておいた。
立ち上がって掛けてあったジャケットを羽織る
コツコツ…ーーー
大理石に当たる靴が奏でる音
『さぁ、パーティーの始まりだ』