【出発前夜】



常夏の島ムカッチャパピリアへの修学旅行、その前夜。

幸多家では、双子が荷造りの最終確認の真っ最中。



「あれぇ、万里、私の鏡どこー?」

「そんなの私が知ってるワケないでしょ。それよりアンタ、ちゃんと絆創膏入れた?」

千歳が怪我をするとすれば、それはもう絆創膏程度で何とか出来るようなものではないのだけれど。



「入れてない!お母さんに貰いに行って来る!」

そう言って立ち上がった瞬間。



バリン。



千歳の足元で何だか嫌な音がした。