「ところでよう、最近疲れるよなあ。」
パンチパーマの早坂光男が、ポリポリ鼻の頭を、かきながら言った。

「早坂さん、もう、俺達、歳だもん」

高田省吾が、ロン毛を、かきあげなから言った。

ママの夕子と30くらいの、でっぷり太った化粧の濃い、貴子ちゃん二人の、小さいスナックだ。

早坂は、グイと焼酎のお湯割りを、飲み干して、しみじみ言った。

「正義の味方も、大変だよ。」

「早坂さん、飲み過ぎないでよ」

高田が赤い顔で言う。高田は、酒が強くなかった。

「改造されて25年。そろそろガタも来るよ。」

早坂は、煙草を、くわえながら、言った。

「ガタガタ言ってんじゃないわよ。」

ママの夕子が怒りながら、早坂の前に親指を突き出した。

ママの親指が、関節部分からパカリと開いて、そこから、火が出て早坂の煙草につけた。