「志穂ちゃん、着いたんだけど、起きられる?」


私はアリサの声で、深い眠りから覚めた。


ここはアリサの車の中。という事は、あれは夢じゃなかったんだ……


悪い夢だと思いたかったのに……


「ありがとうございました」


私はシートを起こし、車のドアを開けた。


「大丈夫? 付いててあげようか?」


「ううん、大丈夫だから。少し寝たら、大分よくなったみたい」


外に足を出したところで、「志穂ちゃん」と、アリサに呼び止められた。


「もし違ってたらごめんなさいだけど……」


と言葉を切り、アリサは心配そうに私を見つめた。


「なあに?」


「志穂ちゃん、妊娠してない?」