「今日だね、ひな」
「う……うぅっ!」
美織ちゃんとの下校途中、いきなりその話を振られ、胃が痛む。
私は思わずお腹を押さえ、歯を食いしばった。
…“その話”というのはもちろん…。
「これでひなも、バカ脱出!……かもね」
家庭教師の話。
悠ちゃんに半ば強引に決められ、勝手に頼まれた秀才家庭教師。
私はいらないってしっかり断ったのに…。
なんだかんだで悠ちゃんに会えず、電話にも出てもらえず、結局今日この日を迎えてしまった。
美織ちゃんに伝えてもらうのが最後の頼みのつなだったのに…。
『悠河、忙しくてあたしと話してる暇もないんだってさ』
と、呆気なくそう言われた。