ガチャン

「あーぁ…」

入学祝に買ってもらった水色のケータイ。

頼に、「奈里ちゃんによく似合ってる」ってほめてもらった。
私としては、頼の黄緑色のケータイの方が彼に似合ってると思った。


電話なんて出るつもりもなかったのに、気付けば手がボタンを押していた。

――…俺、死にたい…。


泣かないでよ頼。
まるで私が悪いみたいじゃない。

私、泣かないように必死で頑張ったんだよ。

瑞姫にあれだけひどいこと言われても耐えたんだよ。


もう、笑ってもいいよね?



「奈里ちゃん!!!」

聞いたことないぐらい大きい頼の声が響く。



誰もいないはずの、教室に。