目が覚めると、いつもとは違う景色が広がっていた。

だけどこんな時でも私は慌てたりしない。

ゆっくり息を吸うと、吐き出す前にここは頼の部屋だということを思い出した。


視線を巡らせると、私の手がきつく頼の服を掴んでいた。

床に座ったまま寝ている頼に申し訳なくなる。

窓の外は真っ暗で、時計を見ると朝の3時だった。
朝と言うべきか夜と言うべきか。


そっと手から力を抜き、布団から抜け出る。

そのまま部屋を出ようとすると、

「どこ行くの」

やけにハッキリした声が耳に届いた。
タヌキ寝入りってやつか。