「久遠! 調子いいじゃんか!」



ボールを追う爽快感、ラケットを握る感覚。


いつもと違う……けど、それが一体何なのかは、わからなかった。




俺……久遠雅樹(くおんまさき)は、町内のテニスクラブに通っている高一だ。


俺の高校には男子テニス部がなく、中学で全国大会まで勝ち上がった戦績があるにも関わらず、テニスを続けられるかわからなかった。


だけど……そんな時、父さんがテニスクラブを探してきてくれたんだ。