「おッはよ〜」

バンッ!

後ろから
背中を押して
相変わらず高いテンション

「おッはよ〜」

パシッ!

手を空で叩いて這わす


晴菜と一緒に
屋上で弁当を食べてた


晴菜は煙草をくゆらせる

青い空にのぼってく
雲より綺麗な煙が
あたしの心をざわめかす

“ どくんどくん… ”

脈拍が早くなる
心音が…大きくなる


「ねえ…あたしにも
頂戴♪!」

「えっ!璃子は駄目」

晴菜はあたしを
非行に走らせたくなかったのだろう…
笑って誤魔化した。


「頂戴よっ…♪」

璃子の手から煙草を
取り上げる

「…おいっ!璃子?」

あたしは一気に
吸い込んだ…
肺の奥までブチ込んで
伸びた灰が
熱いコンクリートの
上に…

パさ…

と落ちた

なんだこれ…
首筋から身体全身を
冷たい風が吹く…


「うわっ…きもちぃ」

中学1年の9月…
初めての煙草

美味さを知る…


「ばっか!璃子なにしとんねん…」

晴菜が声を張り上げた

「いいじゃん…晴菜も
吸ってんだから」

「…………」

晴菜は言い返さなかった

「………」

沈黙が続いて

「璃子…煙草吸うのは勝手だけど、あんまり変わらないでな…」


晴菜は気付いてたのか
あたしの心の闇に…

あたしが非行の道を
進だろう…
運命を…
悪夢の始まりを…

気付いてたのだろうか…


「いえ〜いッ」

いつも通りの
駅前のカラオケ屋の
10番部屋に
いつも通りの
9人の笑い声が響いてる


璃子以外は
みんな酒を飲んでいた

ビールに
酎ハイ…

盛り上げる飲み物
甘い誘惑…

「璃子ものめよ〜」

修がいう

「修ッ!璃子はコーラが好きなんだから、進めんな」

晴菜がまたあたしを
かばった…

「いや…飲むよ」

いままで怖くて
一度も飲まなかった…
飲んでみたかった…


「ちょっ!璃子!」

晴菜の声

「いいぞ〜!キャハハ」

みんなの声…