(一)


源冬月(みなもと・ふゆつき)に関して言えば、双子の兄の化身だった。


兄が京都弁にハマりだしたならば、自分も京都弁を使い。

同じ着物を着て、同じ狐面を被っている。


見た目からして変人だが、そうは思わせないのは双子共々、身のこなしが、風流と名のつくものであったから。


縁日に出回る神のよう。隠匿が神秘にも見え、誰も双子たちを変人扱いせずに扱ってきた。


何よりもその腕前。冬月が帯刀する刀――“蜘蛛切”(くもきり)の名に恥じぬ技は匠たるもの。


数多の妖怪が、その狐面を見ただけでこぞって逃げ出すという逸話とてあった。


冬月は誇らしくもあり、そんな自分の姿を見る度に、うっとりとする。


――ああ、兄さんとおんなじ。と。