【長男不在・代筆の最終報告】


私、竹之内真衣は二階堂楓と幼少から付き合いがあった。
 

所謂幼馴染と言われるこの関係。

睦まじい仲とはやや言いがたく、友人関係とも似つかわしい。私達は同志と呼ぶべき関係だった。

 
どういう同志か?

簡単、家柄を負わなければならない運命に嫌悪する同志だった。


性格上、イエスの良い子で周囲に振る舞っていた私だけれど、本当は自分の人生を好き勝手に生きたい。


大空を自由に舞う鳥のように、自分の人生ルートは自分で決めたい。


そう思い合う関係だった。


私は思って終わりな人間だった。

結局、現実をどうこう変えられたものじゃない。

反感の念を胸に秘めるだけで終えてしまう、つまらない思考を持つ人間だった。


けれど二階堂楓は違う。
 
思って終わり、ではなく、持ち前の食えない性格で思いを実行に起こす人間だった。
 

純粋に尊敬する。彼のような底知れぬ行動力を持つ人間には。


今回もそう、彼は弟や妹を守るために周囲を驚かせる宣言をしてみせた。

五財盟主のひとり、御堂淳蔵を敵に回す宣戦布告をしたのだ。
 
弟の大雅さんはそれはそれは驚きの一色で、血の気を完全になくしていた。

後々なんて馬鹿なことをしたのだと叱られていたけれど、彼は何処吹く風で笑っていたっけ。


自分の起こした行動に誇りすら抱いている様子、無邪気な笑顔が物語っていた。

そんな彼が私は人として純粋に好きだと思う。


異性としてはイマイチだけれど。