□ ■ □
 


【某空き教室
(別名:お守り親衛隊の本部)】



「そ、空…、あの空気、なんとかできないのか?」
 
 

向こうの空気、超怖いんですけど。
 
アジくんの引き攣り声に俺は無茶言わないでくれとかぶりを振った。

「君ならどうにかできるだろ」

ガタブルのエビくんが力なく肘で俺の脇を小突いてくる。

やっぱり俺はかぶりを振って同じ回答を述べた。


それでも何とかしろよと二人が交互に肘で小突いてくる。
 

嗚呼、フライト兄弟、無茶言わないで下さい。

エスケープをお得意としている俺ですよ?
防御力は平均並みでも、攻撃力並びに戦闘力は皆無です。一抹もありません。


ましてや向こうで禍々しいオーラを放っている某あたし様とプリンセスを止めろ、なんて恐れ多いこと、俺にはできやしません。



バシン―ッ、床にベルト鞭が叩き付けられて俺達はヒィッと教室の片隅で縮こまる。

 

向こうではベルト鞭をビーンと張らせて仁王立ちしているあたし様とプリンセス。

各々ベルト鞭を持って、正座を強いている親衛隊を見下ろしていた。

俺も当事者だろうから向こうに行かなきゃいけないんだろうけど、怒気を纏う二人が怖過ぎてこわすぎて。

しかも鞭を持つ姿が絵になっている。余計恐怖心を煽られた。
 

一方、ボロッとした身形で正座している親衛隊の皆さん方はちょっと嬉しそうだ。

なるほど、鈴理先輩に仕置きされることが嬉しいのですね。鞭を持つ鈴理先輩の姿にキュン、時々ハァハァモジモジとしてらっしゃる。

……あのM族と同じにされようとしていたのか俺。想像するだけでも恐ろしい。


ついでに皆さんのハァハァ姿にドン引いていいですか? とてもキショイ光景なんですよ。いやマジで。

 

バシンッ―ッ、再び到来するベルト鞭の音。



奏でたのは御堂先輩。


青筋をくっきり立ててキャツ達を睨み下ろしている。

御堂先輩は純粋に怖いのか、親衛隊の方々は身を小さくして視線を床に落としていた。その反応が普通っすよ、皆さん。