次の日の午後。
私は待ち合わせ場所──学校近くのファストフード──の前に立っていた。


……ホントに、このお店には思い出がいっぱいだ。

お店の中を覗くと、いちばん奥の席に制服姿のヤマタロを見つけた。

私には気づかず、いつものように足を組み頬杖をついている。

私は昨日の夜から平常心を保っていられなくて大変だっていうのに、ヤマタロはいつもと変わらない物憂げな表情で、どこか遠くを見ている。

……こういうところが、負けている気がして悔しいんだけど。


ヤマタロは、テーブルの上のトレイにひとつだけ置かれた紙コップを手に取り、それを口にした。

あぁ、知ってる。

紙コップの中身はコーヒーだ。

ミルクを少しだけ入れた、ホットコーヒー。

残りは少なかったみたいで、ヤマタロはそれを一気に飲み干した。

そしてまた頬杖をつく。

お店の中はお昼時で混み合っているっていうのに、ヤマタロの周りだけは静かで、まるでそこだけ別空間のようだ。


久しぶりに見る、ヤマタロの姿。

……一週間分、ずーっとこうして眺めていたいな……。