◇◆◇◆実紅◇◆◇◆



「…俺、舜だけど」



はっきり聞こえた。


愛しい人の声がインターホン越しに、はっきりと聞こえた。



今さらなに?…正直そう思ってしまった。



……あさきって人とのことを、


誤解なんだって言いに来てくれたのかな?



そうやって、プラス思考に考えても考えても、嫌な方向に考えてしまう自分がいる。




…こんな性格だけは、なりたくなかったのに。


なっちゃったよ。


誰かさんのせいでね…。





《…実紅?》



舜の久々の優しい声。


少し戸惑ってしまう。



「…何しに、来たの?」



内面嬉しいくせに、ついつい口調が冷たくなってしまう。



……舜も舜だよ。


こんなときに、あたしの家に来るなんて。



涙、止まらなくなるし。







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