今日もまた。


飯田コーポレーション営業部に通称Sこと佐渡課長の怒鳴り声が響く。





「俺が帰ってくるまでにしろ」

「そんな…」





千田さんが涙目になりながら佐渡課長から書類の束を受け取る。





「分かったな!」

「は、い」





あの書類の量から考えるとベテランの人でも丸一日はかかるかな。


この春入社したばかりの千田さんにはとても無謀なのは丸わかり。





「じゃ、行ってくる」





それなのに課長が帰ってくるまでに仕上げろなんて、絶対、私でも無理に決まってる。





「千田さーん」

「先輩…ッ」

「皆、手伝うよ」





私も、と足手まとい承知でこくこくと頷く。