3・渓谷への届け物



自分の言葉が通じると分かった虎白は、私の膝の上で上機嫌だった。


私も嬉しかったわよ?

でも、
知りたくなかったかも。


虎白が臆病者な事は、
薄々分かっていたけどね?


――…ヘタレよ。

獰猛な?猛獣?
これが虎ですって…?


…てんで…ヘタレよ?

飼い主なんだからフォローしろ、ですって?

だって、母さん。
それ以外の言葉は見つからないわよ、私。


弱っちい…

野生としてなんて…、
絶対に暮らしていけないわね。

何だか…
ちょっとガッカリよ、私。


ねぇ、母さん。