――真裕サイド――


「ふ……」


あれから早くも一週間。

二ヶ月目を覚まさなかったのだから当然かもしれないけど、かっくんの容態に変化は何一つなかった。


―カラカラカラ…


「まおちゃん…大丈夫? 無理しないで」


「お義母様…」


病室に入ってきたのはかっくんママ。

つい二日前にやってきたんだ。

そのときの、震えるママの手が忘れられない。

複雑な思いがよく分かった。


「ああ、いいのよ立たないで」


気丈なママは、今はこうして笑ってあたしを気遣ってくれる。

なのにあたしときたら…。

心配してくれるみんなを突っぱねて、ますます心配と迷惑をかけるばかりだ。


分かっているのに…頭では分かっているのに。

心がついて行かなかった。


「さあさ。お休みなさいな」


「ごめんなさい…」


「あらいやだ。なにを謝るのよー」


ころころと笑いながら、あたしにブランケットをかけてくれるママ。

本当のお母さんみたいに優しくて温かくて。

すごく安心できるけれど、同時につらかった。


ママだってどんなにつらいんだろう…。

それなのに…。


そう思うと、とてもいたたまれなかった。