テルを抱きしめたまま……

他愛のない話をし始めて1時間は経過した気がする。



時計を見ると、まだ15分。


針はいつも以上に遅く動いているようだ。




テルは俺の胸に顔をうずめながら長い睫毛を伏せて、手悪さしている。




「ね、先輩? キツネー♪」



コンコンといいながら、手で出来たキツネの鼻の部分で腹をつつき始めたテル。


ったく、変なとこで幼稚なんだから。




「ハイハイ、キツネだなぁ」


「先輩もキツネ作ってください」



軽く受け流すはずが、テルの一言によって出来なくなってしまった。