side右京
お迎えのピークを過ぎ、教室に残ったのは双子のみ。
「よし。炯太くん、靖太くんこっちおいで〜」
双子を両膝に座らせ、中村は優しく微笑む。
俺も正座して、彼女たちの前に座る。
「二人ともお兄ちゃんにお名前言えるかなあ?」
彼女がニコニコ笑顔を向けると、双子はやる気満々で俺を見る。
「おかた けーたっ」
「おかた せーた...」
「漢字はこうね」
彼女は俺に二人の連絡ノートを見せる。
あ、「オガタ」ね。緒方 炯太と靖太か。
頷きながら字面と顔を覚える。
しかし二人は一卵性なのか、顔は瓜ふたつ。