放課後。 今日は沙織と一緒に下校せず、一人教室を出る。 「待てよ」 低い声が耳に届く。 「坂口くん...」 太陽の光が弱まっていて、廊下は少し暗め。 生徒も帰ったり、部活に行ったりで廊下には生徒が一人もいない。 そんな中、彼はじりじりと歩み寄りわたしとの間合いを詰める。 ぎゅっと革バッグを持つ手に力を入れる。 逃げようにも、逃がしてくれなさそうな雰囲気。 学ラン姿の彼は目の前。