右京side


「ね、坂口!」


女の声...厄介なことじゃなきゃいいけど。



廊下を歩いていると呼び止められ、鬱陶しそうな顔で振り返る。



「あのお弁当なに?」


「弁当?」


「ほら、小春に渡してたやつ!」


ニヤニヤしながら尋ねられる。


長い黒髪が印象的な万人ウケする美人。


さっき中村に弁当渡した時に隣にいた気がする。


「モテ王子に、まさかあんな趣味があるなんてね」


趣味?


モテ王子はスルーして、心当たりがなくて不審に感じる。


「なんのこと?」


「はあ?カワイイ顔弁、でしょ?」


はっ、と息を吸い込む。さーっと記憶を辿る。