高校入学式。




中学の仲間がそのまま高校の校舎に移動しただけの入学式。


「レオ、あの女がお前をずっと見てたぞ」

「あ?」

「ほら、あの髪の長い女だよ」


指を指したのは俺のダチ。

辿った指の先にはポニーテールを結った娘がいて、サボりに中庭に出た俺をじっと見つめていた。



「見ろよ。イケてるじゃん」

「そうか?俺は別にどうでも」

「レオは女には興味ないんだよな?どんなに迫られても靡きもしないしな」

俺の肩に腕を置いて玉木がガハハと笑った。


「レオには恋愛なんて無理なんだよな」

「なに?レオは女ダメなの?」

別のダチ鍵谷がからかう。



「…別に女がダメなんじゃない」

ボソッと呟いた俺を玉木が突っついた。


「レオには恋愛なんてできっこねえんだよな。家がヤクザなんて女が知ったら逃げてくしさ」