~路地裏~


ボコッ
ガッ

ドカッ


ある路地裏に一人の少年がいた

その少年は綺麗な金色の髪をなびかせ、見知らぬ男を殴っていた

すると


『…辞めろ。』

低い透き通った声が響く

「…なんだてめぇ。」


『あ~あ、派手にやっちゃって~。そいつ、もう意識ないぞ?』

さっきの低い声が嘘のような、とても呑気な声をかけられた

「…うるせぇ、消えろ。」

ドカッ

なおも殴っていると


『お前…何に怯えてる?』


ピクッ…

真剣な心に響くような声が聞こえた


男を殴っていた少年の眉が微かに動き殴っていた手を止めた




「お前に…俺の何がわかる。」

その少年は声をかけてきた方へ瞳を向けた


『俺は、わかるなんて一言も言ってないぞ?ってか、むしろわかりたくもないな。』

暗闇から、声の主が現れた


暗闇から現れたのは、綺麗な銀色の髪と瞳をもつ同い年ぐらいの少年だった


『無駄な喧嘩なんか、絶対にするんじゃねぇ。…喧嘩するなら自分の大切なもん見つけて、それを守るために喧嘩しろ。』

「…。」