真っ暗な闇の中。

何かがしきりに蠢いている。

「……うっ。なんがこの不快な感覚は!?」

ジンは腕を正面へと伸ばす。

ねちょ。粘液の様な物に触れたらしい、手に何かがまとわりついた。

「――くそっ、いったいどうなってやがる!」

ジンがフォースを練ろうとした時、ようやくその違和感の正体を知った。

「――フォースが喰われてやがる!!

そうだ、オレはシルファが呼び出した顔なしの化物に食われて……」


ジンはフォースを練るのを止めた。

瞳を閉じると、歪にではあるが落下していることを身体が感じる。

「ここはあの化物の腹の中ってことか?

食われたらどうなんだ?消化されるとか?」

シグマに食われた現実を受け止め始めたジン。


しばらく落下を続けていると、頭の先に小さな光を感じた。

その光は段々と大きくなり、ジンがその光に触れた瞬間。


「――ぬぉぉっ!?」


ジンは突然に地上に放り出された。