「野原君は…、屋上にいた何人かと…流されました…。」

3月12日、大津波が襲った翌日、避難所をまわっていた塩田課長は、野原の妻、香絵と子供達に俯きながら報告した。

中学生の長男は、

「嘘だぁ〜!!」

と、叫ぶと避難所を飛び出していった。

「父さん…とーさん!!」

彼の声が外から中にも届く中…。

「野原君は…、仲間と励ましあいながら津波に耐えようとしていました…。残念です…。」