『いい加減婚約者を決めたらどうだ』

『まだ父上が元気なんですから、俺が結婚をする必要はないでしょう』

『お前という奴は…』



特定の女性と付き合うわけでもなく、フラフラと遊んでいる俺にいい加減飽き飽きしている様子の父上。


美しいと思う女性は勿論いる。


だが、心まで欲しいとは思わない。


それに、皆ただのシエルには興味がないだろう。


シエル・エメラルディアである俺に興味があるだけだろうからな。



コンコンコンッッ


「はぁい」



母上が返事をすると、使用人が部屋に入ってきた。



「ジョシュ・ファントム王子がお見えでございます。お通ししても宜しいでしょうか」

「えぇ、そうしてちょうだい」

「かしこまりました」



一礼をすると使用人は静かに部屋を出て行った。


そういえば、俺の好きそうな美術品が手に入ったから届けると言っていたな。