「高貴のバイオリン聞いた事ある?」

「はっ?」

思わず聞き返してしまった。

バイオリン?

高貴が?


目を丸くしてるアタシに、那智が細く笑った。


「あいつん家すげーんだよ?父親は大学教授、母親はピアニスト、お兄ちゃんは大学院。」


「・・・・」

言葉が出ないとはこの事だ・・・


そんなアタシを見て、那智は笑う。


「ははっ、信じがたいよね?あの高貴だもん。」

「うん。」

頷いたアタシに、那智は話しを続ける。


「幼なじみだからさ、昔はよく聞いてた。高貴のバイオリン。めちゃくちゃ綺麗な音出すの。」


「そうなんだ・・・」

嬉しそうに那智が笑うから、アタシも思わず微笑んだ。


「今でもたまに弾くみたいなんだ。俺には弾いてくれないけど・・・」


一瞬でその笑顔がなくなってしまって、思わず不安になる。


「・・・何で?」


那智は手を止めて、鏡越し、またニコリと笑った

「よしっ、これで後は時間おくだけ。一時間位かな。」

「・・・ありがと。」


何か・・・

話しそれちゃったな。